研究課題/領域番号 |
19591938
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (70304996)
|
研究分担者 |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90224451)
大竹 秀幸 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60336237)
|
キーワード | 細胞・組織 / 遺伝子 / 癌 / 上皮性卵巣癌 / 絨毛ゴナドトロピン |
研究概要 |
上皮性卵巣癌における近年の分子生物学的解析法の発展で、種々の癌抑制遺伝子の不活化や癌原遺伝子の活性が報告されてきている。しかし、これらの遺伝子は生体内で重要な機能を有することより、これらをターゲットとした遣伝子治療には限界がある。われわれは、患者の同意の下、医学的適応で摘出された正常卵巣より卵巣表層上皮(以下、ovarian surface epitheliam:OSE)を採取し、SV40large T抗原を導入することで、同一愚者のOSEから、ヌードマウス腹腔内への投与で播種性の腫瘍を造る細胞株(OSE2b2)と腫瘍を造ちない細胞株(OSE2a)が得られた。OSE2aは正常OSEでみられるLH/hCG受容体の発現を認めた。一方、造腫瘍能を有するOSE2b2はこのLH/hCG受容体の発現がみられた。われわれはLH/hCG受容体を発現するOSE2aにおいて、hCG刺激による足場非依存性増殖の亢進が認められ、LH/hCG受容体を介する増殖シグナルの活性化が確認された。また、このOSE2aとOSE2b2でhCGαとβsubunitの両者の発現ならびに産生がみられ、OSE2aではαsubunitが優位で、OSE2b2ではβsubunitが優位であった。primary OSEではhCGαsubunitのみの発現が観察され、βsubunitの発現は見られなかった。37例のヒト卵巣癌組織におけるRNAレベル(RT-PCR)で、hCGαならびにβsubunitの発現を検討したところ、αsubunitの発現が32例(86.5%)、βsubunitの発現が35例(94.6%)に確認された。また、免疫組織学的検討においても、βsubunitが確認された。また、近年、他の癌腫において、hCG受容体を直接介さず、TGF-β受容体の発現を介する増殖シグナルが報告されており、OSE2aならびにOSE2b2においてこの受容体の発現を有することが確認された。
|