研究課題/領域番号 |
19591940
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
津田 浩史 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00423880)
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研究分担者 |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
荒尾 徳三 近畿大学, 医学部, 講師 (20441074)
須藤 保 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50397824)
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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キーワード | 上皮性卵巣癌 / 腫瘍-間質相互作用 / 発現解析 |
研究概要 |
【研究の目的】上皮性卵巣癌(EOC)の予後は婦人科悪性腫瘍の中では最も悪く、その対策は急務である。癌の治療戦略を考える場合、その生物学的特性を解明することが重要である。癌細胞の性格を規定する因子は、癌細胞自体の性格だけでなくその周囲の間質細胞や免疫細胞の影響も重要である。しかしEOCでは間質の作用に重点をおいて解析した報告はない。本研究では標準治療を受けたEOCの腫瘍実質および間質の発現解析を実施し、『腫瘍-間質相互作用』の観点から予後を規定する因子を探る。【方法】対象:標準治療を受けたII・IV期のEOC112例(34例はアレイ解析、78例はvalidation assay)。方法:1) microdissectionにて腫瘍の実質と間質を切り分け、RNAおよびDNAを抽出する。2) 34例を54675遺伝子を搭載したアレイチップ(Affymetrix Gene Chip HG-U133 plus2.0 array)で発現解析を施行。3) 予後と関連する遺伝子を、実質と間質ごとに抽出する。4) 抽出した遺伝子を、78例のEOCを対象に定量的PCRでvalidation assayを施行。【結果】1) 実質と間質で、RNA抽出は可能であったが、間質RNAの抽出量は実質と比較し10%程度であった。2) p<0.001で抽出すると、無増悪生存(PFS)と関連する遺伝子が実質で50個、間質49個抽出できた。3) 実質で抽出した遺伝子は8q24と20q13に集中しており、その部位の遺伝子異常がPFSに関連することが示唆された。4) 8q24および20q13の候補遺伝子を、78例のEOCを対象に定量的PCRでvalidation assay施行したが、同部の増幅が標準治療を受けたEOCのPFSと関連していた。5) 間質遺伝子は、validation assayを施行中である。【結論】8q24と20q13の増幅が標準治療を受けたEOCのPFSを予測できる新しいバイオマーカーと考えられた。
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