研究課題
本研究では、反回神経の障害が原因となっている種々の喉頭機能障害患者に対し機能的電気刺激を応用することで、喉頭機能の回復を促進することを最終目標とし、その遂行のために、機能的電気刺激の内喉頭筋再支配に対する影響について基礎的な実験成績を収集することを目的としたものである。ラット下腿を喉頭のモデルとした実験では、機能的電気刺激によって脱神経後に生じる廃用性筋萎縮が抑制されることが明らかとなった。また、機能的電気刺激が脱神経後の神経再支配を促進するとともに、脱神経後に生じるアセチルコリンレセプターの減少を抑制すること、さらには運動神経再支配が起こったときの神経終末とアセチルコリンレセプターとの機能的接続を増加させる可能性があることが示された。この結果は機能的電気刺激が、神経再支配による運動機能の再獲得に効果的に作用することを示唆するものであると考えられた。また、イヌの喉頭を用いた実験では、完全埋め込み型の電気刺激装置と刺激電極を用いて、反回神経切断後の麻痺している内喉頭筋に筋収縮を誘発し、喉頭運動を回復させることに成功した。現在、2ケ月以上の長期経過観察をおこなっているが、動物に対する障害や刺激装置の不具合は観察されていない。大型の動物に対して長期にわたり喉頭の電気刺激をおこなった実験は、本邦では過去に報告がない。本研究の結果は、障害された喉頭機能の回復に対して機能的電気刺激が有効かつ安全であることを示していると思われる。
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Annals of Otology, Rhinology & Laryngology (In Press)
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