研究課題
本研究の目的は、下丘が左右近接した位置にあるために同一の手術野で展開できる利点を生かし、従来の人工内耳やABIでは実現困難であった両側の聴覚経路を使用できるための知見を提供することにある。そのために、両側下丘へのインプラント埋め込みの基礎的実験として、マウスを用いて非侵襲的方法である光学的イメージング法による大脳聴覚野の反応測定を試みたが、予想されていた周波数選択性が得られなかった。そこで、マウスの下丘においてはこれまでに用いられてきたサルやモルモットなど異なる周波数特性を示すのが一因と考えられた。そこで、マウス下丘の周波数特性を検討すべく、神経細胞の音刺激に対する反応を細胞外記録で計測した。その周波数特性(frequency response map)を検討したところ、4つのタイプに分類された。Type Iは聴力神経と同様の特性、Type IIは鋭い周波数特性で周囲に抑制帯を持つもの、Type IIIは広い周波数特性で抑制帯のみられないもの、Type IVは複雑あるいは不規則な特性である。それごれのタイプの分布は、Type Iが27%、Type IIが32%、Type IIIが27%、Type IVが14%であった。特徴として、Type IとIIに分類されるものはType IIIと比較すると、閾値が低く、かつ自発発火が乏しい傾向が見られた。今後、これらの下丘の生理学的特長を踏まえた上で、さらに中脳プラントの実現をめざした研究が必要と考えられた。
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