研究概要 |
鼻ポリープを有する慢性副鼻腔炎で手術適応となった患者のポリープを含む副鼻腔粘膜,および鼻閉で下鼻甲介粘膜切除を行った重症通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜を用いて以下の解析を行った。採取した副鼻腔炎粘膜組織ならびに鼻粘膜組織中のIL-4,IL-5,IL-13,IL-6,IFN-γの遺伝子発現をリアルタイム核酸増殖法にて検討したところ,好酸球副鼻腔炎組織,アレルギー性鼻炎鼻粘膜で,好中球優位浸潤の副鼻腔炎組織に比較して有意に高いIL-4,IL-5,IL-13,の発現がみられたが,IL-6,IFN-γ発現についてはいずれも差がみられなかった。また,各組織から好酸球など多核白血球を除いて単核球を分離しての検討でも同様の結果であった。さらに,これら単核球からCD4,ケモカイン受容体(CXCR3,CCR4)を利用したフローサイトメトリーで,好酸球副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎組織では,好中球浸潤型副鼻腔炎に比較して有意に多数のTh2細胞浸潤が認められた。一方,Th1細胞につてはいずれの組織にも差は認められなかった。NKT細胞について検討したところ,末梢血中には差が見られなかったが,組織中には喘息を合併した好酸球浸潤型副鼻腔炎組織中に浸潤を認めたが,アレルギー性鼻炎患者鼻粘膜,喘息合併のない好中球浸潤型副鼻腔炎組織中には確認出来なかった。好酸球浸潤も含めて,NKT細胞の気道での活性化の誘導が好酸球性副鼻腔炎の病態の形成に関与することが示唆される。
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