上気道での好酸球浸潤性疾患の病態を検討するために、昨年度は粘膜局所の NKT 細胞について検討を行ったところ、好酸球性副鼻腔炎の組織中に NKT 細胞の浸潤が確認されたが、アレルギー性鼻炎炎患者鼻粘膜では明らかではなかった。本年度は in vitro ならびに動物モデルでの検討を進めた。 ヒト末梢血から分離したリンパ球にin vitro で α-Galactosylceramide(α-GalCer)で刺激を行ったところ、培養上清中には少量のIFN-γが検出されたもののIL-4、IL-5の産生は認められなかった。一方、好酸球性副鼻腔炎患者より手術により採取した副鼻腔粘膜より浸潤リンパ球を分離し、同様にα-GalCerで刺激したところ、IL-4、IL-5の産生が確認された。真菌での刺激では産生は明らかではなかった。 他方、Balb/cマウスに卵白アルブミンを抗原として腹腔内感作とその後点鼻感作により実験的アレルギー性鼻炎モデルマウスを作成した。点鼻感作前にα-GalCerあるいはマウス骨髄由来の樹状細胞(DC)にα-GalCerでパルスして作成したα-GalCerパルスDCを口腔底粘膜に投与したが、いずれもその後の点鼻感作後の誘発鼻症状に対する影響はなく、好酸球数の変化も不明であった。 昨年のヒト鼻粘膜、あるいは副鼻腔粘膜での検討結果同様、アレルギー性鼻炎へのNKT細胞の関与は明らかではなかったが、他方、好酸球性副鼻腔炎の病態への関与を示す結果が得られた。但し、NKT細胞の真菌による活性化は明らかではなかった。
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