研究概要 |
生後3日目に内耳を吸引して作成した,片側の先天聾モデルラットを用いて,カルバインD(Cal-D),パルブアルブミンの分布について免疫組織学的に検討したところ,上オリーブ各群においてこれらのカルシウム結合蛋白の発現に変化がみられた。現在,蝸牛神経核の縮小を伴わない先天聾モデルについて,片側聾と両側聾との違いを検討している。これらの研究を通じて,Hearing onsetが起こらないということが,その後の聴覚中枢の発達に及ぼす影響について検討することで,先天聾に対する人工内耳手術の有用性とその限界を知ることができる。 これに関連して,聴覚中枢の生後発達機における可塑性をみるために,生後3日目に一側の下丘を除去すると,上オリーブ各群からの一部の投射路において遺書正答者が観察された。 突発性難聴において,抗酸化ビタミンであるビタミンEとCを従来の治療に併用する事で,著明な治癒率の向上が得られた。これは虚血再灌流障害を予防する効果による可能性がある。 虚血性内耳障害モデル動物の実験に先立ち,モデルとして確立されている外傷性顔面神経麻痺動物モデルにおいて,抗酸化剤(TJ-23)を投与する事により,起始ニューロンの変性、細胞死を抑制する効果が得られた。今後,虚血性内耳障害モデル動物において本当に虚血再灌流障害が起こるのかを確認するとともに,ビタミンEなどの抗酸化剤の効果を検討する予定である。
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