研究課題/領域番号 |
19591962
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
伊保 澄子 福井大学, 医学部, 助教 (80151653)
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研究分担者 |
山本 健人 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80303379)
木村 有一 福井大学, 医学部, 助教 (50281035)
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キーワード | CpG DNA / 皮膚アレルギー / IgE / T-bet / GATA-3 / IFN-α / Th1 / Th2 |
研究概要 |
[目的] 非侵襲的アルギー治療法の開発のため、細菌ゲノムから同定した免疫刺激配列G9.1(IFN-α誘導型、特許第3976742号)の抗アレルギー効果を検討した。 [方法] OVA感作マウスに、OVAを、G9.1またはODN2006(既知のB細胞活性化型)と同時にまたは単独で、皮下(耳介)に投与した。24時間後に耳介腫脹、浸潤細胞、抗原特異的IgE・サイトカイン・転写因子の発現を測定し、G9.1の抗アレルギー効果を評価した。全身への影響は血中サイトカインレベルで評価した。投与ルートの対照として予定していた経口投与は実験上の理由により経鼻投与に変更した。 [成績] OVA単独投与では4匹全ての耳介に腫脹が起こった。G9.1投与5匹では1匹に軽微な腫脹を認めたが、4匹では完全に抑制された。ODN2006投与では4匹中2匹に著明な腫脹、1匹に軽度の腫脹が残った。G9.1の耳介皮膚投与により血中のOVA特異的IgEレベルは低下した。耳介組織では、浸潤細胞数、IL-4/IL-5の発現が低下し、IFN-α、IL-12、Foxp3の発現が増加した。また、Th1免疫の形成に重要なT-betが誘導され、T-bet/GATA-3比が正常レベルまで回復またはそれ以上に増加し、免疫バランスがTh1に傾いた。G9.1を経鼻投与すると血中サイトカイン値が大きく変動し、副作用が生じる可能性を否定できなかった。これに対し、耳介皮膚投与マウスの血中ではIFN-αが僅かに上昇するのみで、その他のサイトカイン値は変わらず、全身への影響は殆ど考慮しなくても良いと考えられた。 [結論] 細菌ゲノム擬似配列G9.1は、非侵襲的皮膚アレルギー治療法の開発に応用できる可能性があると思われた。
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