研究課題/領域番号 |
19591966
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猪原 秀典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00273657)
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研究分担者 |
富山 要一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20437320)
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キーワード | human papilloma virus / p53 mutation / codon 72 polymorphysm / 化学放射線同時併用療法 / 下咽頭癌 / 中咽頭癌 |
研究概要 |
化学放射線同時併用療法を施行した切除可能なstage III及びIVの頭頸部扁平上皮癌90例(中咽頭癌38例、下咽頭癌46例、喉頭癌6例)について、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染をPCR/DNA fragment analysisにより、p53遺伝子変異をPCR/SSCP/direct sequencingにより、p53codon72の遺伝子多型をPCR/direct sequencingにより解析し、局所制御率、疾患特異的生存率との相関についてCox比例ハザードモデルを用いて検討した。p53遺伝子変異についてはp53の機能が喪失または大きく低下するdisruptive mutationと機能が大きく変化しないnondisruptive mutationに分けて検討した。多変量解析の結果、HPV非感染例、Pro/Pro遺伝子型において、局所制御率、疾患特異的生存率ともに有意に不良であった。TNM分類やp53遺伝子変異は予後因子とならなかった。一方、解析からHPVを除くと、Pro/Pro遺伝子型は同様に予後不良因子であったが、新にdisruptive mutation群が疾患特異的生存率の予後不良因子となった。p53遺伝子変異、特にdisruptive mutationはHPV感染と負の相関があり、p53遺伝子変異が予後因子かどうか検討する際にはHPVも併せて検討する必要があることが明らかとなった。一昨年、頭頸部癌の手術症例ではdisruptive mutation群で生存率が不良との報告があったがHPVについて検討していないため、手術症例におけるp53遺伝子変異の予後因子としての有用性についてはHPVを含めた再評価が必要と考えられた。今後は、化学放射線同時併用療法が奏効してもPro/Pro遺伝子型群については、追加治療を行うことが必要と考えられた。
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