研究概要 |
【目的】本研究の目的は、声帯直上で計測した呼気流速変動に基づき、声帯振動、呼気流、声門上下圧の連成を考慮した発声機構を明らかにすることである。超小型熱線プローブと高速度ビデオカメラシステムを使用して声門の開閉状態を記録し、さらに声門部と流速分布の関係を詳細に解析する。また、マイクロチップ圧トランスデューサーをファイバースコープへ挿入し、声門下圧と声帯振動の関係について観測した。 【方法】流速測定:ファイバースコープを鼻腔から挿入し、熱線プローブを先端に装着した生検用ワイヤーを鉗子用チャンネルから挿入し声帯直上に留置し、声帯振動により変調された発声時の呼気流速変動を計測する。 声帯振動観測:ファイバースコープをフォトロン社製デジタル高速度ビデオカメラFASTCAM-MAXに装着する。 音圧変動測定:マイクロチップ圧トランスデューサーを気道内に留置し、声門下圧の圧力変動を測定する。この信号波形も高速度カメラのメモリに声帯振動画像と同期した状態で記録する。 【結果】(1) 声門が閉鎖する直前に流速が最大となり、声門下圧も最大となる。(2) 声帯直上の平均呼気流速は,声帯前方で早く,後方ほど遅くなる.また,声帯からの距離に対して大きく変化し、距離が大きくなるほど低下する。(3) 声帯直上の呼気流速の最大値は、声帯前方で最も大きく、後方ほど小さくなる。(4) 呼気流速に含まれる高周波成分は、声帯前方で大きくなる。
|