メニエール病の発作と内リンパ水腫の関連を調べたところ、内リンパ水腫が形成されている時期にめまいが発生していることが分かった。つぎに、抗利尿ホルモンと内リンパ水腫の関連を検討し、抗利尿ホルモンが内耳の血管条に作用することによって内リンパ水腫が形成されることを示唆する結果を得た。さらに、抗利尿ホルモンの阻害剤を投与することによって抗利尿ホルモンの血管条への作用は起こらなかった。最後に、内リンパ液の吸収部位である内リンパ嚢において、水分代謝に関与している水チャネル(AQP)を検討し、抗利尿ホルモンによって制御されているAQP2をはじめ多くのAQPが発現していることが分かった。 これらの結果は、メニエール病の発作と抗利尿ホルモンが深く関与しており、抗利尿ホルモンの阻害剤がメニエール病の治療薬となる可能性を示唆している。また、メニエール病の治療薬である浸透圧利尿剤は、AQPを介して内リンパ水腫を軽減させていることを示唆する結果であった。
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