研究課題/領域番号 |
19591982
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小川 洋 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70264554)
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研究分担者 |
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
馬場 洋子 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80305375)
松井 隆道 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40404876)
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キーワード | 先天性難聴 / ウイルス難聴 / 遺伝性難聴 / 保存臍帯検査 / サイトメガロウイルス |
研究概要 |
調査によれば出生1000人から2000人に1人の割合で高度難聴児が生まれてくるとされている。これは先天性代謝疾患などの他の先天性疾患に比較すると頻度が高く、聴覚障害はすべての先天性疾患のうちでも最も多い疾患であると考えられる。一方、先天性CMV感染症は300人に1人の割合で出生し、5%の顕性感染うち40%に難聴が、95%の不顕性感染のうち10%に難聴が認められるという欧米の報告があり、乳幼児期における聴覚障害の原因として重要視されている。本邦における乳幼児における聴覚障害の原因として先天性CMV感染と遺伝子異常の関与について検討された報告はなかった。われわれは後方視的に先天性CMV感染の関与を証明することができる保存臍帯検査を行って、聴覚障害児67例のうち10例(15.4%)においてCMV-DNA陽性、16例(23.9%)に聴覚障害において最も頻度の高いGJB2遺伝子異常を確認した。遺伝子異常を示した患児とCMV遺伝子が確認された患児との間で重複はなかった。乳幼児における聴覚障害の原因としてGJB2遺伝子異常が最も頻度が高く、それについでCMVによるものの頻度が高い結果となり、本邦においても聴覚障害の原因として先天性CMV感染の頻度が高いことがわかった。CMV-DNA陽性患者とGJB2陽性患者について出生時体重を比較するとCMV-DNA陽性群で低い傾向があった。側頭骨CT,MRIの検査においては両者に差はなく、内耳奇形は見られなかった。GJB2遺伝子異常の患児5名、CMV-DNA陽性患児4名に対して人工内耳埋込術を施行した。装用効果について来年度以降も引き続き検討を行う。遺伝子難聴とサイトメガロウイルスを同時期に検査する本研究により、本邦における乳幼児聴覚障害の原因が明らかになり、人工内耳を含めた早期治療、療育に対する方針が明らかになるもとと考えられる。
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