研究課題/領域番号 |
19591987
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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研究分担者 |
藤原 啓次 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80326371)
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
島田 絢 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90326372)
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キーワード | 急性中耳炎 / インフルエンザ菌 / バイオフィルム / 溶連菌 / 細胞内侵入 |
研究概要 |
1.インフルエンザ菌のバイオフィルム形成検出法の確立 小児急性中耳炎28例の鼻咽腔より分離された無莢膜型インフルエンザ菌70株を用い、バイオフィルム形成の検討を以下の2つの方法で検討した。 (1)クリスタルバイオレット染色法による定量的評価:96 wellプレートを用い、クリスタルバイオレット染色法によるバイオフィルムの定量的評価を行った。バイオフィルム形成の評価は、測定菌株OD_<570>値/陽性コントロール株OD_<570>値をbiofilm formation index(BFI)と定義し、BFI≧0.4の株をバイオフィルム形成株とした。 (2)共焦点レーザー顕微鏡による画像評価:96ピン付き96 wellプレートを用い、共焦点レーザー顕微鏡によりバイオフィルム形成(シアル酸染色)とインフルエンザ菌(核酸染色)の観察を行った。 70株のうち59株(84.3%)でバイオフィルム形成が認められ、さらにクリスタルバイオレット染色法によるバイオフィルム形成の定量的評価は、共焦点レーザー顕微鏡による画像評価を反映することが判明した。 2.溶連菌の細胞内侵入に関する遺伝子検索急性咽頭・扁桃炎から分離された溶連菌の細胞内侵入関連遺伝子であるsil遺伝子に発現について、242株の臨床分離株について検討し、emm型と比較検討した。29株(11.98%)に遺伝子発現が認められ、すべての発現株にspeB allelesを認めたが、spec C allelesを認めたのは69%であった。 以上の成績は小児から得られた臨床分離株から初めてバイオフィルム形成を証明し、さらに非浸潤性株の溶連菌において細胞内侵入関連遺伝子の発現を証明したものであり、極めて意義の高いものと考える。
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