研究課題/領域番号 |
19591987
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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研究分担者 |
藤原 啓次 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80326371)
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
島田 純 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90326372)
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キーワード | 中耳炎 / 薬剤耐性菌 / 肺炎球菌表面蛋白抗原 / PspA / 母体免疫 / インフルエンザ菌 / バイオフィルム / 難治化 |
研究概要 |
[目的]肺炎球菌表面蛋白抗原PspAを用いた母体免疫による特異的免疫能の誘導および感染予防について検討し、難治化の原因として、インフルエンザ菌のバイオフィルム形成能にっいて検討した。 [結果]1)PspA母体経鼻免疫により、母マウス母乳及び血清、新生児マウスの血清中に抗PspA特異的IgG抗体が誘導された。またPspA免疫群の新生児マウスは、非免疫群に比べて全身感染後の生存時間が延長された。2)小児急性中耳炎症例より採取した無莢膜型インフルエンザ菌臨床分離株において、安定したバイオフィルム測定システムを確立することができた。この測定システムにより中耳炎分離株70株のうち59株(84%)にバイオフィルム形成を認めた。薬剤感受性とバイオフィルム形成との関連を見ると、ABPCの耐性株に比較して、感受性が高い株ほどバイオフィルム形成株を多く認めた。急性中耳炎の臨床経過とバイオフィルム形成との関連について検討すると、抗菌薬治療非改善例から分離されたインフルエンザ菌では,抗菌薬治療改善例からの分離菌よりも有意に高いバイオフィルム形成能を認めた。 [考察及び結論]PspAの母体経鼻免疫免疫により、免疫能の未熟な乳幼児期に特異的免疫応答が誘導可能であり、肺炎球菌感染症の予防方法として有用と考えられた。さらに急性中耳炎患児から分離された無莢膜型インフルエンザ菌がバイオフィルム形成を行うことが明らかとなり、加えて無莢膜型インフルエンザ菌のバイオフィルム形成が、抗菌薬治療に抵抗し遷延・難治化する急性中耳炎の臨床経過に重要な役割を果たすことが示された。
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