研究課題/領域番号 |
19591991
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60125036)
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研究分担者 |
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60234762)
志和 成紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20235766)
田中 康広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40266648)
吉川 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50277092)
内水 浩貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00307414)
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キーワード | 中耳真珠腫 / 表皮増殖 / 表皮分化 / サイトカインネットワーク / パラクライン / Epiregulin / 線維芽細胞 |
研究概要 |
これまで表皮の増殖・分化におけるサイトカインや細胞周期関連物質の関与、表皮の分化と細胞死などについて検討してきた。その結果、真珠腫の進展は炎症の悪循環であり、多くのサイトカインネットワークが関与することが推測された。また表皮の最終分化に深く関与するinvolucrin、各種のPKCと阻害因子について検討では、真珠腫上皮の増殖においては各種の炎症性サイトカインの発現が亢進するものの、分化と細胞死に関しては正常上皮と同様に行われること、また上皮と上皮下組織は密接に関連しながら病態を形成するなどが理解された。その中でも真珠腫上皮の活性に深く関与するものとして上皮下の線維芽細胞の存在がある。真珠腫進展においてこの線維芽細胞の果す役割について検討した結果、中耳真珠腫においても線維芽細胞が病態を決定するような表現型を持つことによって局所免疫を制御し、またparacrine loopによるケラチノサイトの増殖も制御している可能性が考えられた。そしてEpidermal growth factor(EGF)familyに属する増殖因子であるEpiregulinが正常皮膚由来と比較して中耳真珠腫由来の細胞において優位にmRHAが増強していた。また免疫組織の検討では、Epiregulinは中耳真珠腫のケラチノサイトと線維芽細胞に強発現しており、病態との関連が強く示唆された。 すなわち感染によって活性化されたケラチノサイトやその他の炎症性細胞から産生される因子が、線維芽細胞からのEpiregulinの産生を惹起させ、再びケラチノサイトの増殖や分化に関与するというメカニズムの存在が示唆された。 平成19年度は、このような基礎的な研究に加え、術前・後、手術所見から臨床病態の解明や、手術成績などを学術誌、学会報告をしてきた。
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