研究課題/領域番号 |
19591999
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研究機関 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 |
研究代表者 |
森 浩一 国立障害者リハビリテーションセンター, 感覚機能系障害研究部, 室長 (60157857)
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研究分担者 |
酒井 奈緒美 目白大学, 保健医療学部, 助教 (60415362)
増田 早哉子 慶応義塾大学, 社会学研究科, 助教 (90415365)
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キーワード | 吃音 / 音声 / 医療・福祉 / 脳・神経 / 制御工学 / 言語 / コミュニケーション障害 / リハビリテーション |
研究概要 |
音声の基本周波数(F0)は目標との誤差を実時間に帰還することで制御されている。聴覚帰還を遅延(DAF)すると非吃音者では発声が不安定になって人工吃が生じ、吃音者では逆に吃が減少する。本研究では、F0の制御特性を定量的に解析することで聴覚帰還制御の特性を求め、それに対応する生理的神経基盤(脳活動)の詳細を非吃音者と吃音者について明らかにすることを目的とする。 音声の聴覚帰還に微細な周波数変調を加えて音声の周波数制御の伝達特性を測定する方法(TAF)により、周波数の変調強度を変化させて特性を見ると、ある値以上に変調を強くしても応答があまり大きくならない現象が観察され、線形性が認められる範囲がかなり狭いことが示唆された。 機能的MRIによってTAF下の神経活動計測を行う実験で、被験者を追加して解析した。周波数変調をかけない対照条件(NAF)における脳活動と比較して、TAF条件において左右側頭葉(聴覚野)・右島後部などの活動が見られ、前年度の結果とほぼ同じであっいたが、男性被験者がまだ少数ではあるが、左側頭葉の活動が高くないなど、男女差が認められた。 非吃音者と吃音者を対象に、DAFとNAF(遅延なし)の条件下の機能的MRIの結果を詳しく解析した。NAF条件における吃音者群は右下前頭回の活動が高かったが、非吃音群においてはこの部位はDAF条件の方が活動で高かった。両群とも、右の上・中側頭回の活動はDAFの方がNAF条件より高いが、上側頭回の活動は、いずれの条件でも非吃音者群の方が高かった。これらより、右下前頭回と上側頭回が非流暢発話に重要であることが示唆された。
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