(1)猿、ラット高眼圧緑内障モデル眼の後眼部循環動態の検討 平成19年度までに、カニクイザルに対し線維柱帯光凝固を施行し、眼圧を数ケ月間にわたり約30-40mmHgに持続的に上昇させる高眼圧モデルを作成した。このモデル眼で急速な眼圧下降を行うと、直後から約1分後までに視神経乳頭のレーザースペックル法による血流速度は前値に比べ約40-60%の増加を示し、その後の数分間で前値比約20-30%増加のレベルに復帰した。各種抗緑内障点眼薬(ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト)の点眼後に、高眼圧モデル眼とコントロール眼の視神経乳頭血流はいずれも増加したが、薬剤によって反応性が異なる傾向にあった。ラットでは片眼の前房中にラテックスビーズを注入し、持続的な高眼圧による片眼性の高眼圧緑内障モデルを作製した。 (2)全身投与薬剤の高眼圧緑内障モデル眼後眼部血流への影響 上記の高眼圧緑内障モデル眼を対象とし、血管拡張薬であるカルシウム拮抗薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬を全身投与し、視神経乳頭、脈絡膜、網膜血管等における後眼部循環動態をレーザースペックル眼循環解析装置、レーザードップラー眼血流解析装置等を用いた解析を開始し、現在継続中である。同一個体の無処置の対側眼を比較対象として検討することで、眼循環に関する非常にすぐれた実験系であり、現在ほとんど明らかにされていない緑内障眼における後眼部血流動態の変化と、その血管拡張・収縮薬に対する反応性についての解析を加えていく。
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