研究課題/領域番号 |
19592017
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50294096)
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研究分担者 |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20362717)
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キーワード | 近視 / 増殖性硝子体網膜症 / 黄斑前膜 / 網膜剥離 / 黄斑円孔 / 硝子体手術 |
研究概要 |
強度近視に特異的な合併症に対する硝子体手術において、我々は網膜内面や硝子体における牽引力の重要性について検討をおこなってきた。このような難治性網膜剥離の成因として、硝子体牽引や網膜血管、そして内境界膜の重要に加えて、眼球が後方に突出する後部ぶどう腫の重要性が認識されるようになった。そこで我々は近年眼科領域で盛んに用いられるようになったスペクトラルドメイン光干渉断層計を用いて合併症のない強度近視の後部ぶどう腫の程度や脈絡膜厚を測定した(ikuno & Tano IOVS 2009)。この研究では、合併症のない強度近視31眼(平均51.7歳)において、中心窩より上下耳鼻側1.5mmの網脈絡膜厚と、後部ぶどう腫高(中心窩下と上下耳鼻側4つの画像縁における色素上皮線の前後方向の距離の総和)を光干渉断層計で測定し、臨床データとの関連を検討した。その結果、中心窩下脈絡膜厚は100.5μmで、耳側(125.4μm)、上方(129.4μm)、鼻側(81.9μm)に比べて有意な差を認め(各々P<0.01)、屈折値(P<0.05)、後部ぶどう腫高(P<0.01)と有意に相関した。一方、平均中心窩網膜厚は200.9□mで、有意な相関はなかった。また、後部ぶどう腫高は屈折値と眼軸長に有意に相関した(各々P<0.01)。Stepwise解析では、脈絡膜厚は年齢と後部ぶどう腫高に強い相関があった(P<0.01)。この結果から、従来はIn vivoで測定困難であった近視の脈絡膜は本技術を用いることで十分に測定可能であるとともに、強度近視眼では、網膜よりむしろ、脈絡膜から菲薄化が始まること、脈絡膜の中でも中心窩付近もしくは下方が主として菲薄化すること、そして下方が特に後部ぶどう腫が急峻になっていることが発見された。このことは強度近視眼における黄斑円孔網膜剥離や中心窩分離症の発症機序に深く関与している可能性があると考えられた。
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