本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。ゼブラフィッシュにおけるレチナルファシン遺伝子の発現を分子生物学的および免疫組織学的手法により解析した。 1.ゼブラフィッシュのレチナルファシンの全長の単離:ゼブラフィッシュのゲノムおよびESTデータベースを用いて、哺乳類(ヒト、マウス)のレチナルファシン遺伝子配列を基に、高い相同性を示す部分クローンを検索した。その結果RT-PCR法により部分クローンを単離した。これをプローブとしてゼブラフィッシュ幼魚のcDNAライブラリースクリーニングをし、全長ORFを含むcDNAクローンを単離した。蛍光シークエンサーを用いて塩基配列を決定し、それがマウスおよびヒトレチナルファシンと高い相同性を有しており、ゼブラフィッシュのレチナルファシンであることを証明した。 2.ゼブラフィッシュの網膜におけるレチナルファシンの発現の検討: (1)RT-PCR法:発生各段階のゼブラフィッシュの眼球からRNAを抽出し、ランダムプライマーによって逆転写反応を行いゼブラフィッシュのレチナルファシンcDNAを作成した後PCRを行い、mRNAを検出した。その結果、幼魚の段階よりmRNAの発現を認め、成魚において多くの発現を認めた。 (2)免疫染色法:免疫染色は胚(whole-mounted embryo)および2ケ月齢のゼブラフィッシュから摘出した眼球の凍結切片の両方で行った。抗レチナルファシン抗体を使用し、蛍光抗体方法の手法を用いて免疫染色を行った。光学顕微鏡により観察しレチナルファシンが発生のどの段階から認められるのか、網膜のどの部分に発現しているかのを検討した。その結果、幼魚の段階より発現を認め成魚においても継続して発現を認めることが証明された。コンフォーカル顕微鏡により、網膜の視細胞層外節に発現を認めた。
|