本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。ゼブラフィッシュにおけるレチナルファシン遺伝子解析のためレチナルファシン遺伝子に関するトランスジェニックフィッシュを作製し、分子生物学的および免疫組織学的手法により解析を行った。 1.レチナルファシン変異遺伝子を持つトランスジェニックフィッシュの解析:トランスジェニックフィッシュの8細胞期から孵化直後までの胚を用いてwhole mount in situハイブリダイゼーション法(WISH方法)を行った。その結果、幼魚の段階より発現を認め成魚においても継続して発現を認めることが証明された。正常眼との差異はなかったが、加齢とともに振幅の低下が見られることを証明した。匹数が少なかったので、更に検討する必要があると考えられた。 2.GFP-レチナルファシンダブルトランスジェニックフィッシュの作成:網膜視細胞(ロドプシン)がGFP(緑蛍光蛋白)で標識されているゼブラフィッシュと208delG変異型レチナルファシントランスジェニックフィッシュを掛け合わせ、ダブルトランスジェニックフィッシュを作製した。 3.GFP-レチナルファシントランスジェニックフィッシュの解析:作成したダブルトランスジェニックフィッシュを用いて蛍光顕微鏡による組織学的な形態観察を行った。視細胞に発現しているGFPの発現変化を検討することによって、変異型におけるレチナルファシンの発現変化を観察した。今回の検討の範囲では、レチナルファシンの発現は減弱していたが、視細胞の配列および形態変化を観察することはできなかった。 4.siRNA:変異型ゼブラフィッシュ用いて、siRNAによる遺伝子抑制実験を行い網膜内、特に視細胞内のレチナルファシンの局在がどのように変化するのかを検討した。今回の検討の範囲では、正常眼との差異を認めなかった。
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