研究概要 |
本研究の目的は、加齢黄斑症(ARM)における脈絡膜血管構築と紫外線・液性因子・動脈硬化の関連を検討することである。本年度はARMと紫外線の関連について、以下のような成果を得た。すなわち、AMD患者(初期、後期)およびage-matched controlにおける皺量としみ量をBeauty Imaging System(BIS)装置を用いて測定した。その結果、後期AMDにおいては、皺量がその他のグループと比較して有意に多いことが分かった。これは、生涯紫外線曝露量が、後期ARMの発症に関与している可能性を、客観的なデータとして初めて実証したデータである(Age-related maculopathy and sunlight exposure evaluated by objective measurement:Br J Ophthalmol,in press)。また、加齢黄斑変性の特殊型とされ本邦に多い疾患であるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)についてこれまでに蓄積した眼底血管造影のデータをもとに、疾患の初期と後期の像の特徴を解析した。その結果、初期では軽度の網膜色素上皮萎縮や脈絡膜血管透過性亢進、拍動が特徴であり、後期にはオカルト脈絡膜新生血管や瘢痕病巣が特徴であることを報告した。この結果はまた、PCVが単一の疾患ではなく、広いスペクトラムをもった症候群であることを示唆している(Clinical features of early and late stagepolypoidal choroidal vasculopathy characterized by lesion size and disease duration:Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,in press)。
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