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チミジンホスホリラーゼ(TP)は、核酸代謝酵素のひとつで、その活性は正常組織に比べて癌組織中で亢進し、また血小板由来血管内皮増殖因子と同一タンパクであることが報告されている。また、眼内血管新生病変のひとつである脈絡膜新生血管においても、摘本出標本でその存在が確認され、特にマクロファージと血管内皮細胞で強く発現するという結果が得られている。本研究では、増殖糖尿病網膜症における増殖組織中でのTPの発現について、硝子体手術の際に摘出された増殖膜を用いてTPを免疫組織化学的に検討した。対象は増殖糖尿病網膜症の7例7眼(男性4例、女性3例)、年齢は43歳5ヶ月から59歳5ヶ月で平均年齢は52歳3ヶ月であった。摘出した検体を10%ホルマリン液にて固定し、パラフィンブロックとし、厚さ3μMにて薄切標本を作製し、免疫組織化学染色およびヘマトキシリンエオジン染色を行った。抗チミジンホスホリラーゼ抗体を用いた免疫染色では7症例中5例(71.4%)にTPの発現が認められた。TP発現細胞率は、0%から30%まであり平均は13.6%であった。これらより、TPは眼内血管新生病変において、脈絡膜新生血管だけでなく増殖糖尿病網膜症の血管新生にも関わっている可能性が示された。またTPに対する阻害薬が増殖糖尿病網膜症に対する治療薬となる可能性も示された。網膜静脈分枝閉塞症など他の新生血管病変についても、免疫組織学的検討が進行中である。一方、実験的に虚血網膜症モデルラットを作成し、その新生血管病変についても同様の検討を行っている。
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