研究課題
本研究の目的は、我々が既に確立した上記のサル緑内障様モデルを用いて、高眼圧による視野の変化を経時的かつ部位的に検討することであった。すなわち、外側膝状体が眼圧上昇によってどのように影響を受けるかを機能的、形態学的、免疫組織化学的、分子生物学的に検討し、眼底の形態学的な変化、視野変化との関連性並びに時間的な関連性について検討した。1)[<11>^C](R)-PK11195(末梢型ベンゾジアゼピントレーサー)を用いてPET実験を行った。通常、このトレーサーは正常サル脳においては結合活性を検出できないが、脳内の障害を受けたマイクログリアには集積することが分かっている。その結果、高眼圧モデルサルの外側膝状体にトレーサーの集積が認められた。2)レーザー照射によって眼圧を上昇させてどのように視野が障害されるかを検討した。さらにその際の網膜の眼底変化並びに外側膝状体の変化についても検討した。眼圧上昇とともに視野障害並びに網膜眼底及び外側膝状体の障害が認められた。サルの視野障害は、ヒトの視野障害の進行と類似していた。このことから、本モデルは緑内障によって生じる視野障害のモデルとしても有用であることが明らかになった。3)眼圧上昇後の外側膝状体における各種変化を形態学的、免疫組織化学的、分子生物学的に検討した。高眼圧サル眼の眼底写真において視神経乳頭障害はレーザー照射2週間後から観察され、時間依存的に障害の進行が認められた。また高眼圧サル眼の視神経において断面積及び視神経線維数の減少が認められ、その視神経投射領域において神経細胞体の収縮及び神経細胞数の減少が経時的に認められた。
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NeuroReport 20
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