研究概要 |
C57BL/6マウスに、レーザー照射を行い、実験的脈絡膜新生血管を作成、7日目に眼球を摘出、4%パラホルムアルデヒドで固定し、網膜色素上皮-脈絡膜-強膜フラットマウントを作成、FITCで標識されたレクチンで免疫染色を行い、レーザー共焦点顕微鏡を用いて、脈絡膜新生血管の容積を測定した。 Recombinant SPARC (osteonectin)100ngおよび300ngをレーザ-照射翌日にマウスの硝子体腔内に注入し、7日目に眼球を摘出し脈絡膜新生血管の容積を測定した。対象はPBSを硝子体腔内に注入した。脈絡膜新生血管積は、レーザー照射のみの群は523542□μm^3、PBS注入群は487132μm^3 Recombinant SPARC100ng注入群は506902μm^3、recombinant SPRAC300ng注入群854700μm^3で、SPRAC300ng注入群で有意に脈絡膜新生血管容積が増大した(p<0.05).ヒトと同様に黄斑都をもっているサル網膜では、周辺網膜ではほとんどSPARCが認められないが、黄斑部にSPARCが認められるという報告がある。(Rodriguez IR,et al.Invest Ophthalmol Vis Sci.2000) SPARCはVEGF receptor-1と結合し、VEGF receptor-2の働きを増強させるという報告もあり(Kupprion C,et al.J Biol Chem.1998)、今回のマウス脈絡膜新生血管の研究結果から、ヒト黄斑部においてSPARCがVEGF-Aと親和性が高く、血管新生抑制作用のあるVEGF receptor-1と結合することにより、血管新生作用の強いVEGF receptor-2が作用し、血管新生を促進させている可能性が考えられた。今後SPARCが加齢黄斑変性の治療のターゲットになりうると思われた。
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