網膜変性疾患治療に極めて重要である網膜神経節細胞の機能的再生を念頭におき、網膜神経上皮細胞の増殖制御に、Gタンパク共役型ATP受容体の活性化に加えてイオノトロピック型ATP受容体の持続的な活性化が必要であるかについて明らかにすることを目的とした。鶏胚網膜神経層の器官培養液にATPを添加してDNA合成量を測定したところ、DNA合成の促進が認められた。しかしその促進効果は、両ATP受容体を活性化させるATPでは認められるが、増殖期S期細胞で顕著にカルシウム動員及び容量性カルシウム流入を生じさせたGタンパク共役型ATP受容体のみを活性化させるUTPでは認められなかった。以上の結果は網膜神経上皮細胞の増殖制御に、Gタンパク共役型受容体のみならずイオノトロピック型受容体との機能的連関が必要である可能性を示唆している。
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