ボランティアから得られたヒト末梢血の単球成分を取り出し、CD14、CD68やF4/80抗体を用いてautoMAXカラムでマクロファージのみを単離した。またヒト末梢血をヒトGM-CSF(20ng/ml)とともに6日間培養し、CD1d、CD14、CD68抗体を用いてautoMAXカラムで樹状細胞のみを単離した。細胞にリポポリサッカライド1μg/mlを加え、一晩培養し、遺伝子導入用細胞を調製したが、マクロファージは導入効率があまりよくないため、以後は樹状細胞のみで研究を進めた。マウス樹状細胞を遺伝子導入する時に使用したCGRP cDNAはARPE-19 cell lineのtotal RNAより合成し、Human CGRP cDNA fragmentはpCR3.1-2FL paasmidに導入した。また対照ベクター群としてmock(pCR3.1-2FL)も作製した。これらのプラスミド、pCR3.1-2FL-hCGRPとmockをNucleofectorIIを用いてelectroporation法にてヒト樹状細胞に導入した。生存細胞数は70%で、導入効率は50%であった。産生サイトカインはIL-10がわずかながら認めたが、再現性が得られなかった。正常樹状細胞へのCGRP遺伝子導入は50%の効率で成功したが、はっきりしたサイトカイン産生(IFN-gamma、IL-2、TNF、IL-17)を認めることは出来なかった。また正常細泡に遺伝子導入を行ったことにより、特徴的な表面分子は認められなかった。これは、正常樹状細胞へCGRP遺伝子導入を行っても副次的反応は起きず、生体内に安全であるとも考えることが出来た。
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