研究概要 |
TNF-α誘発視神経障害、エンドセリン誘発網膜視神経障害、NMDA誘発網膜障害に関わる分子生物学的出来事を視神経、網膜別に検討してきた。TNF-α、NMDA硝子体注射後の形態学的変化は現在までに検討していたため、今年度はエンドセリン硝子体注射後の網膜神経節細胞および視神経障害を時間的に検討した。硝子体注射後28日での網膜垂直切片の結果をもとにエンドセリンの量を0.2nmolに決定し、硝子体注射後1、7、14、28日後の網膜及び視神経をサンプルにウェスタンブロットでextracellular signal-regulated kinase(ERK)の蛋白を検討した。ERKはいずれも変化を認めなかったが、リン酸化ERKは網膜で一過性に上昇し、視神経では遅れて上昇することが確認された。またリン酸化ERKは網膜でも視神経においても、アストロサイトのマーカーであるGFAPと共存していることが確認された。ERKの阻害剤であるU0126を用いた研究によりp-ERKの上昇は網膜にも視神経にも保護的に働いていることが確認され、現在すでに臨床で使用されているウノプロストンにp-ERKを上昇される効果があることが確認され、視神経の保護の観点からも期待がもたれた(Vis Neurosci,in press)。またsiRNAの浸透度に関して、まず硝子体注射で検討し、網膜神経節細胞の中に入ることを確認した(Brain Res,2007)。現在様々なsiRNAの効果について検討中である。
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