研究概要 |
IFN-γ非依存性の拒絶応答におけるTh17の関与を検討した結果、有意なTh17の関与を示唆する結果は得られなかった。検討には強い拒絶反応が生じるC57BL/6(B6)ホストを用い、129マウス(minorHのみ非自己)の角膜ドナーを、B6マウス(WT)・B6-IFN-γ KOマウス・B6-IFN-γ-receptor KOマウス・IL-17KOマウスのホストへそれぞれ全層角膜移植した。また、IL-17KOマウスへ移植後抗IFN-γ抗体による治療を行い、Th1,Th17双方の抑制を試みた。拒絶角膜はギムザ染色と免疫染色(CD11b,CD11c,Gr1,B220)を行った。移植7目後の角膜と頚部所属リンパ節におけるTh1/Thl7関連サイトカイン遺伝子発現をreal time PCR法を用いて測定し、normalマウスと比較した。結果、IFN-γKOマウスも(90%拒絶、n=20)、IFN-γ-receptorKOマウスも(100%拒絶、n=10)、IL-17KOマウスも、さらにIL-17KOマウスに抗IFN-γ治療を施行した群でも129マウス角膜を拒絶した(対照拒絶率100%)。拒絶角膜には好酸球やB細胞の浸潤がなく、好中球やマクロファージの浸潤が見られた。移植7日後の角膜での遺伝子発現の検討では、IFN-γKOマウスでIL-6,IL-17fの発現増強が見られたが、ドナー細胞との混合培養上清からIL-17産生を検出出来なかった。すなわち、マイナー抗原に対するIFN-γ非依存性の拒絶が存在し、好中球浸潤を伴う非Th2/非Th17応答の拒絶が示唆された。ヒトにおける免疫学的拒絶制御を行うにあたり、MHC適合とIFN-γ抑制を行うことでは不十分であると考えられ、さらなる拒絶機構の解明が必要と考えられた。
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