研究課題/領域番号 |
19592047
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
近藤 寛之 福岡大学, 医学部, 講師 (40268991)
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研究分担者 |
林 健志 九州大学, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (00019671)
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キーワード | 未熟児網膜症 / 家族性滲出性硝子体網膜症 / 遺伝子診断 / WNTシグナル / 網膜疾患 / ノリエ病 / SuperTopflash |
研究概要 |
網膜血管形成不全疾患の代表な遺伝性疾患である家族性滲出性硝子体網膜症について研究を推進した。家族性滲出性硝子体網膜症は遺伝的に多様な疾患であり、多くの原因遺伝子の存在が推定されている。現在知られている原因遺伝子はいずれもWntシグナル伝達系蛋白をコードしており、このシグナル伝達系は生物に普遍的に存在し発生や癌化に関与することが知られている。本症の一部がWntシグナルの障害が原因であることが明らかとなっており、今年度の研究は、Wntシグナルの下流にあるβ-cateninの転写活性をルシフェラーゼ反応によって計量するSuperTopflashアッセイを用いて検討した。これまで我々がわが国の家族性滲出性硝子体網膜症の原因として報告した遺伝子変異をこのアッセイ系に導入し、変異ごとのβ-cateninの転写活性に与える影響を検討した。既知である3つの原因遺伝子のうち、とくにノリエ病遺伝子変異にみられた多様な結果からFEVRに関与する未知の経路の存在が示唆された(Qin、Kondo、 et. al.:Hum Genet 2008;OMIM#03506、3/12/2008 updated)。また、ホモ接合性FZD4遺伝子変異というこれまで知られていない遺伝子異常とその臨床像との対応から、遺伝子量的効果による重症度の多様性を明らかにした(Kondo、 et. al.:Ophthalmic Genet 2007)。 多因子疾患と想定される網膜血管形成不全疾患のひとつである未熟児網膜症に対して、血管形成に関与すると想定される遺伝子の調節領域に注目し、これらの遺伝子多型を未熟児網膜症症例に対して直接シークエンスによってタイピングし、今後の研究の推進に向けた準備をした(近藤、日本小児眼科学会シンポジウム2007[名古屋])。
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