研究課題/領域番号 |
19592060
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 講師 (80345529)
|
研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20197247)
田尻 達郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80304806)
宗崎 良太 九州大学, 大学病院, 医員 (10403990)
|
キーワード | 小児腫瘍 / ウィルムス腫瘍 / 腫瘍マーカー / Glypican3 |
研究概要 |
Glypican3(GPC3)は膜結合型Glypicanファミリー6種類のうちの一つで580アミノ酸からなる60kDのコア蛋白質にヘパラン硫酸プロテオグリカンの糖鎖修飾が加わった膜蛋白質で、1997年にHsuらがHCC組織においてGPC3の発現が有意に高いことが報告した。以後、卵巣癌、悪性中皮腫、乳癌、大腸癌などにおいても発現があることが報告された。2003年にNakatsuraらがHCCにおいてはAFPに匹敵するマーカーとしての有用性を報告して以来いくつかの追試がなされている。小児固形悪性腫瘍に関してはいくつかの報告が散発的にあるが、その腫瘍マーカーとしての有用性までには言及されていない。今回我々はウイルムス腫瘍をはじめとする小児固形悪性腫瘍全般、計34症例のGPC3の発現を検討した。方法は血清中のGPC3(sGPC3)、AFP(sAFP)、組織は免疫組織によりGPC3(tGPC3)、AFP(tAFP)について検討した。34例中4例(11.8%)はsGPC3(+)/tGPC3(+)、7例(20.6%)はsGPC3(+)/tGPC3(-)、5例(14.7%)はsGPC3(-)/tGPC3(+)、18例(52.9%)はsGPC3(-)/tGPC3(-)であった.年齢別のsGPC3陽性率は、1歳以下は8例中5例(62.5%)、1歳以上は26例中7例(26.9%)であった。3例がsGPC3(+)/sAFP(+)(肝芽腫2例、卵黄嚢癌1例)であった。一方4例がsGPC3(+)/sAFP(-)であった(未分化肉腫1例、神経芽腫1例、Wilms腫瘍1例、Solid Pseudopapillary Tumor1例)。このうち、未分化肉腫の症例においてはsGCP3が治療効果に伴い、経時的に減少傾向を示した。これらの所見よりGPC3はAFPに類似した動態を示す癌胎児性蛋白であるが、GPCを特異的に発現する小児腫瘍が存在することが示され、sGPC3(+)かつsAFP(-)を呈する腫瘍においては新規腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。
|