研究課題/領域番号 |
19592061
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増本 幸二 九州大学, 大学病院, 講師 (20343329)
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研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20197247)
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 助教 (80345529)
永田 公二 九州大学, 大学病院, 医員 (20419568)
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キーワード | 先天性横隔膜ヘルニア / 胎児治療 / 肺低形成 / 肺発達 |
研究概要 |
新生児外科疾患において、横隔膜ヘルニアにおける肺低形成の機序解明は、小児外科医にとっての責務である。我々は、新たなCDHの治療戦略の開発を最終的な目標として、細胞外マトリックス、細胞間接着因子、細胞増殖因子を中心とした肺低形成の機序解明に取り組んでいる。分子生物学的研究の進歩に伴い、臓器発生機序について、各種ノックアウトマウスを用いた研究が盛んに行われている。肺の発生についてもその類であり、細胞増殖因子、細胞外マトリックスや細胞間接着因子が肺発生に大きく関与している事が、現在明らかになっている。 我々は、まず、肺低形成発生機序の解明のために、細胞外接着因子であるgap junction protein alpha-1(:以下Gja1)の関与に着目した。Gja1マウスのhetero typeの親マウスを交配した結果得られた仔マウスは、wild typeとheterotypeの仔マウスが、正常に生存可能であるのに対し、knock-out typeの仔マウスは出生直後にチアノーゼを呈して死亡するためである。Gja1欠損マウスは、pEF6/V5-HisTOPOベクターを用いて作成されたマウスを用い、親、仔のtypingについては各々DNA typingを行った。 結果、病理組織学的所見として、これらwild type、hetero type、knock-out typeの仔マウスの摘出肺を比較検討したところ、wild typeとheterotypeの仔マウスの肺は、肺胞中隔のひ薄化に伴う血液ガス交換表面積の拡大した所見を呈し、気道系・血管系の発達は良好なcanalicullar stageからalveolar stageに至っていた。一方、knock-out typeの仔マウスは、末梢側の肺胞が拡張しきれずに外分泌腺様構造を呈していた。また、肺胞中隔の肥厚が顕著であり、内腔は狭小化し、血管系の発達も未熟であった。肺発達過程におけるpseudograndullar stageに相当するものと考えられた。 肺発達における過程で、発生初期にgap junctionを通過する細胞増殖因子などの細胞間情報伝達物質の輸送が停止したために、肺発達が胎生期において途絶したことを示す所見と考えられた。
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