本研究では、皮膚光線障害及び光老化における新規血管内皮増殖因子AGFの発現と役割を同定し、血管新生が光老化の治療ターゲットであることを明確にした後、整容的な側面から光老化に対する新たな治寮戦略の創出を目指す。本研究課題では、表皮特異的AGFトランスジェニックマウスを用いて、光線過敏及び皮膚光線障害、さらに慢性UVB照射における光老化におけるAGFの作用機序和解明に着手した。 (1)表皮特異AGFトランスジェニックマウスの最少紅斑量測定 ケラチン14プロモーターにより表皮特異的にマウスAGFを発現するトランスジェニックマウス(K14-AGFTG)及び野生型マウスのK14-AGFTG背部体毛を除去した後、UVBを単回照射する。照射は皮膚開窓部に対して、段階的に照射量を増やした。48時間後、野生型及びK14-AGFTGの最少紅斑量を測定し、K14-AGFTGの光線過敏生を検討した。 (3)K14-AGFTGに誘導される皮膚光線璋害の評価 K14-AGFTGの最少紅斑量を耳介に単回照射し、以下主要5項目を野生型と比較検討した。(1)急性光線障害による浮腫:耳介の厚さをダイアルゲージで測定した。(2)血管・リンパ管:特異抗体を用いて脈管の組織学的変化を検討した。(3)新生血管透過性の亢進:Mile'sアッセイを行った。(4)表皮肥厚:BrdUの取り込みを評価し、表皮の増殖活性を検討した。(5)真皮結合組織の平面:トリクローム染色により膠原線維の発現及び配列の変化を、またルナ染色により弾性線維の変化をUVB非照射群、及び野生型との比較により検討した。
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