本研究では頭蓋骨の骨トランスポート法における新生骨のBMP発現部位と時間的な発現量の変化を明らかにすることを目的とする。 再建新生骨のBMP発現を検討するための予備実験を行った。以前骨トランスポート法により頭蓋骨再建を行った標本を使用した。体重約3kgの成熟した日本白色家兎を使用。頭頂部に作成した15x15mmの頭蓋骨全層欠損を欠損に隣接した骨片を移動することにより再建した(骨トランスポート法)。摘出した頭蓋骨を4%paraformaldehydeで固定、その後脱灰処理しparaffin包埋した。標本は骨の延長方向に沿って切り出しを行い、切片を作成、切片をBMP-2、-4に対する一次抗体(BMP-2;sc-6895、BMP-4;sc-6896、Santa Cruz Biotechnology Inc.)にてincubateし、ABC法にて免疫染色を行い、最後にhematoxylinで対比染色した。使用した抗体はパラフィン包埋での免疫染色が報告されておらず、数種類の希釈を検討した結果、100倍での希釈が最も有用であった。 以前の標本による観察では、骨切りを行った断端部での骨芽細胞、また再建新生骨内における骨芽細胞でBMP-2およびBMP-4が陽性に染色された。 平成20年度は予定されたプロトコールに従い、家兎での頭蓋骨欠損再建モデルにおいて欠損作成時、延長中、延長後において経時的に標本を採取し、新生骨の免疫染色を行う予定である。
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