1.抗CSA抗体を用いたBALB/cA^<CSA>系マウス由来細胞とBALB/cA系マウス由来細胞の鑑別 抗CSA抗体を用いたC3H特異抗原の検出には酢酸-エタノール固定が推奨されているが、この固定法では組織形態の保持は満足のいくものではない。そこで、種々の固定液で固定されたBALB/cA^<CSA>系マウス(以下、CSA)とBALB/cA系マウス(以下、CA)の各組織より凍結厚切り切片とパラフィン切片を作製し、前処理を施した後、抗CSA抗体の染色性を確認した。その結果、Bouin液で還流固定し、凍結切片としてデオキシコール酸で前処理すると、CSA由来組織が強く染色され、CAと区別可能であった。一方、同固定のパラフィン切片では、ProteinaseK処理によってCSA由来組織が弱く染まるが、CAとの明確な鑑別は困難であった。これらの結果より、CAに移植されたCSA由来細胞は、Bouin液で還流固定し、凍結厚切り切片としてデオキシコール酸で前処理を行うことで、免疫蛍光染色で鑑別可能であることが示された。 2.骨髄由来間葉系幹細胞の分離・同定と移植 CSAの大腿骨より髄腔内の細胞を取り出して培養し、非付着性細胞を除いた後、トリプシン-EDTA処理によるdishへの付着性の違いを利用して骨髄由来間葉系幹細胞を分離した。分離された細胞は、全てが抗CSA抗体に陽性を示した。各種の幹細胞マーカーを調べたところ、CD34(STRO-1)は陰性であり、CD29(Integrinβ1)とCD49e(Integrinα5)に陽性を示す細胞が僅かに認められた。また、骨髄由来細胞よりコロニアルクローニング法を用いて間葉系幹細胞を分離した。現在、これらの細胞の性状を調べるとともに、CAの大腿静脈内に移植し、経過観察中である。
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