研究概要 |
F344系ラット左鼡径部から我々がこれまでに報告してきた脂肪組織由来幹細胞を含むASC精製プロトコールに従ってASCを獲得した。すなわち、約1gの脂肪塊を採取し、細切した後コラゲナーゼ処理し、幹細胞を含むと考えられる間質細胞を採取した。この初代継体ASCを10%FBS添加DME培地内で培養、継代を繰り返した。第2継代ASCをトリプシン処理後、細胞浮遊液を作成し移植に供した。 次に同系のF344系ラットに対し両側大腿動静脈を完全に切離し下肢虚血モデルを作成した。その後直ちに準備しておいたASCを片側の下肢筋肉内に注入移植した。対側にはPBSを注入しコントロール群とした。移植後1,3,7,10日目に安楽死させ、肉眼的な虚血下肢の状態を観察後、下肢組織を採取し組織学的検索に供した。また移植後14日目には組織採取に先立ち赤外線サーモグラフィーによる皮膚音測定、選択的血管造影による下肢血行の評価も行った。なお移植したASCには予め細胞の動向を調べる目的でDiIによる染色を施した。 現段階では移植後14日目に施行した血管造影所見で、細胞移植群において豊富な血管新生を認める所見を得た。しかしながら移植後各段階における詳細な組織評価を得るには至っていない。 次年度においては既に採取した組織内における血管密度の評価、移植細胞の血管内皮細胞への分化の程度、各種の血管増殖因子の測定を予定している。
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