研究課題
ケロイドは、廠痕組織が過剰に増殖した病変であり、良性線維増殖性病変に分類される。ケロイドは真皮から皮下組織にかけて、ビメンチン陽性の紡錘形線維芽細胞が存在する太い膠原繊維が縦横に錯綜している特徴を持つ。症例によっては平滑筋原性アクチンが陽性で、筋線維芽細胞への分化が示唆される。ケロイドに対しては外科的治療法が多く施されているが、現在、内科的内服ケロイド治療薬はトラニラストのみである。トラニラストは細胞のTGF-βの産生あるいは遊離を抑制することが知られている。一方、われわれは線維芽細胞にHgsを強制発現することにより、ビメンチン、平滑筋原性アクチンが陽性の筋線維芽細胞への分化が誘導されることを見出している。HgsはSMAD2/3のリン酸化を促進することにより、TGF-βシグナル伝達活性を促進すると考えられる。本研究は、Hgsがケロイド治療薬トラニラストの標的分子である可能性を検討し、Hgsがケロイド治療薬の標的分子となりえることを明らかにすることを第一の目的としている。そして、Hgsを標的としたケロイド治療薬のシード化合物を検索することを第二目的としている。当該当年は、TGF-βシグナルにより生合成が促進するplasminogen activator inhibitor 1のプロモーター活性を測定することにより、TGF-βシグナル伝達活性へのトラニラストの影響を検討した。その結果、トラニラストがTGF-βシグナル伝達を阻害することにより、TGF-βの産生を抑制することを明らかになった。
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Bioorg.Med.Chem.Lett.
巻: 17 ページ: 4895-4900
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