Wistar系Ratを用いてpentobarbital麻酔下に、盲腸穿孔モデルを作成。血圧及び血液採血用にFemoral arteryにカテーテルを挿入。薬剤投与用にJugular veinにPE50カテーテルを挿入。上行大動脈と腎動脈にultrasonic flowprobeを装着して持続的に心拍出量と腎血流量を測定した。NorepinephrineとVasopressinとInducible Nitric Oxide Inhibitor(L-NIL)を投与して投与後6時間まで血行動態、心拍出量、腎血流量を測定し、iNOSへの影響の比較検討も実施した。またstreptozotocinにより作成した糖尿病ratについても同様の検討をおこなった。敗血症Ratでは血圧低下と心拍数の増加、心拍出量と腎血流量の低下が観察されたが、Vasopressin投与で血圧低下、心拍数増加、心拍出量低下は改善し、L-NILを加えると腎血流量も改善した。一方、糖尿病ratではVasopressin投与でも血行動態はあまり改善せず、L-NIL投与で血行動態の改善をみた。iNOS活性を比較したところ、糖尿病ratでは著明なiNOS活性の上昇を認め、L-NILがブロックすることで血行動態の改善が可能であった。今回の観察から敗血症での血行動態の不安定にはiNOS活性が強く関与し、糖尿病状態ではより強い関与が示された。この結果から、iNOS活性を抑制することが敗血症からの回復に寄与することが分かった。
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