研究課題/領域番号 |
19592088
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
木村 哲也 福井大学, 医学部, 准教授 (50195369)
|
研究分担者 |
寺澤 秀一 福井大学, 医学部附属病院, 教授 (30324164)
小淵 岳恒 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (10401986)
|
キーワード | 腎不全 / 血管新生因子 / VEGF / PD-ECGF |
研究概要 |
背景:血小板由来内皮細胞成長因子(Platelet-derived endothelial cell growth factor; PD-ECGF)は、VEGF (Vascular endothelial growth factor)とともに血管新生活性を有することで知られている。今回、PD-ECGFおよびVEGFがラット腎不全モデルに及ぼす効果を検討した。方法:雄ラットの右腎を摘出し、さらに左腎の上極・下極を切除することで腎不全モデルを作成した。また、pClプラスミドベクターにヒトPD-ECGFおよびLacZ遺伝子を挿入し各々のベクターを作成した。実験群は、I) LacZ導入群、II) PD-ECGF導入群、III) PD-ECGF+VEGF併用群に分けた。I、II群に各々2mg/0.7mlのLacZおよびPD-ECGFベクターを左腎動静脈遮断下に腎に局所注入した。III群には、PD-ECGFに加えVEGF(10μg)を3日間、腹腔内に持続投与した。5日後、7日後、8週後の腎機能を評価し、また摘出した腎に組織学的検討を加えた。結果:免疫染色において、PD-ECGFは皮質から髄質にかけての間質領域に発現していた。5日後、7日後のPCr、BUNは前値に比べ有意に上昇していたが、I群とII群間では明らかな有意差はなかった。III群では、5日後のPCr値がI群に比し低下傾向にあった。8週後のPAS染色では強い糸球体硬化像の進行を認めたが、glomerulosclerosis severity scoreにおいては3群間に有意な差は認められなかった。まとめ:ラット腎不全モデルにおいてPD-ECGFプラスミドベクターを局所注入することで間質内にPD-ECGFが発現することを認めた。PD-ECGF自体の腎保護効果、またPD-ECGFとVEGFとの併用効果は認められなかったが、遺伝子の腎実質への局所導入による新たな治療の展開が期待される。
|