研究課題/領域番号 |
19592094
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原田 直明 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00309915)
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研究分担者 |
岡嶋 研二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60152295)
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キーワード | 免疫グロブリン / 虚血再灌流障害 / 知覚神経 / インスリン様成長因子-1 / アポトーシス / 賢障害 / 脊髄後根神経節細胞 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド |
研究概要 |
昨年度までの解析で、免疫グロブリンが知覚神経刺激作用を介して腎のカルシトニン遺伝子関連ペプチード(CGRP)産生を促進して、IGF-1産生を増加し、虚血再灌流によるアポトーシスを抑制して、腎障害を軽減する可能性を検討した。今回CGRPノックアウト(KO)マウスを用いて、同様の検討を行った。CGRPKOマウスでは、腎虚血再灌流による腎組織中のIGF-1濃度の上昇が認められず、野生型マウスと比べ、腎のTUNEL染色陽性細胞が増加しcaspase-3濃度も有意に高値を示した。また、腎障害の指標として血中尿素窒素(BUN)および血中クレアチニン(Cr)濃度を測定したところ、CGRPKOマウスでは、野生型マウスよりも腎虚血再灌流後のBUNおよびCr濃度が有意に高値を示した。人免疫グロブリン製剤(100mg/kg、静脈内投与)をCGRPKOマウスに投与しても、虚血再灌流による腎組織中のIGF-1膿度は上昇せず、腎のTUNEL染色陽性細胞の増加とcaspase-3濃度の増加は、抑制されなかった。また、CGRPKOマウスにおけるBUNおよびCr濃度の上昇も人免疫グロブリン製剤の投与で改善されなかった。CGRPKOマウスにCGRPまたは人遺伝子組み換えIGF-1を投与すると、虚血再灌流による腎のアポトーシスが抑制され、腎障害も軽減された。以上の結果から、虚血再灌流により知覚神経が刺激され、腎組織中のCGRP濃度が上昇し、IGF-1産生を促進することで、アポトーシスを制御し、腎障害を軽減することが示された。免疫グロブリンは知覚神経の刺激作用を介して、腎のCGRP濃度を増加して、IGF-1産生を促進し、虚血再灌流によるアポトーシスを抑制し、腎障害を軽減することが示された。
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