研究概要 |
目的:敗血症から多臓器不全への進展には神経内分泌免疫系の破綻と全身性血管内皮傷害の関与が示唆される。本研究の目的は,lipopolysaccharide(LPS)存在下の高温下で高糖環境が血管内皮細胞に及ぼす影響を明らかにすることである。 方法:ヒト臍帯静脈血管内皮細胞をglucose濃度100mg/dl(NG群)もしくは300mg/dl(HG群)を含む溶液でLPS(1μg/mL)存在下に,38.5度の環境で5,12,24時間培養した。培養後に上清中のIL-6の蛋白とmRNAを計測した。浸透圧の影響を観察するために,glucose濃度100mg/dlで浸透圧のみglucose濃度300mg/dl溶液と同じになるようにmannitolで調整した群(HO)でも同じ実験を行った。 結果と考察 (1)高温環境下でのIL-6蛋白量は,HG,NG両群とも経時的に増加した。HG群は24時間でNG群と比較して有意(P<0.01)に高値であった。 (2)高温環境下でHG群のIL-6mRNAは,5時間でNG群と比較して有意(P<0.05)に高値であった。 (3)高温環境下での高糖,高浸透圧は暴露早期の炎症性サイトカイン産生を促進する。 結語:高体温の敗血症患者においては,早期の血糖管理と浸透圧補正がcytokine modulationのための重要な管理項目と考えられた。
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