研究課題/領域番号 |
19592101
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
増野 智彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (00318528)
|
研究分担者 |
佐藤 格夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (30409205)
横田 裕行 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60182698)
|
キーワード | ショック / 腸管リンパ液 / 脂質メディエータ / 腸管虚血 / ホスホリパーゼA2 / 臓器障害 |
研究概要 |
平成19・20年度に引き続き、出血性ショック後に生じる多臓器不全の発生機序を解明すべく、虚血腸管から腸管リンパ液中に産生されるホスホリパーゼA2(PLA2)由来メディエータの遠隔臓器障害発生に対する役割を明らかとすることを目的に研究を行った。 【目的2】ショック後に生じる肺障害がPLA2阻害で軽減されるかを検討する。 方法:Two hit肺障害model(出血性ショック・蘇生に続き、Second hitとしてLPSを静脈内投与し、6時間後に肺胞洗浄液内に漏れ出した色素量により肺障害程度を測定)を作成し、PLA2阻害薬投与によりショック後肺障害の発生が抑制できるかを検討した。 結果:平成20年度に引き続き同実験を継続し、結果の再現性を検討した。出血性ショックに引き続くLPS静脈内投与により著明な肺障害が生じたが、PLA2阻害薬投与によりショック後肺障害が軽減する結果を得た。 【目的3】PLA2 knock out mouseを使用し、出血性ショックモデルでの臓器障害の発生を検討する。 結果:ラット出血性ショックモデルで得た結果をPLA2 knock out mouseを用いて検証すべく実験を行ったが、マウス出血性ショックモデルが安定せず、時間的制約もあり、目的3の研究は継続を断念した。 【まとめ】本研究より、出血性ショック後腸管リンパ液には虚血腸管より生物活性をもつメディエータが産生されることが確かめられた。ショック後腸管リンパ液中にはショック前には見られないPLA2タンパクが確認された。ショック後リンパ液のもつ生理活性はin vitroおよびin vivoでのPLA2阻害薬投与により抑制された。ショック後に生じる肺障害は、PLA2阻害薬投与により軽減された。以上の結果から、出血性ショック後臓器障害の発生には、出血性ショック・蘇生により腸管リンパ液内に産生されるPLA2由来メディエータが関与していることが示唆された。
|