研究課題/領域番号 |
19592106
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
河野 芳朗 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303129)
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研究分担者 |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
井上 佳世子 (野澤 佳世子) 新潟大学, 医歯学系, 特任准教授 (90303130)
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キーワード | ディファレンシャルディスプレイ / 歯牙発生 / エナメル芽細胞 / カルサイクリン / 象牙芽細胞 / セメント芽細胞 |
研究概要 |
エナメル芽細胞は分化の過程でその形態、性質が大きく変化する。基質形成期エナメル芽細胞から成熟期エナメル芽細胞への分化では、発現している遺伝子が変化していることは容易に推測できる。このエナメル芽細胞の分化の過程で発現量の変化する遺伝子を同定するために、基質形成期エナメル芽細胞と成熟期エナメル芽細胞を分離、採取し、アニーリングプライマーディファレンシャルディスプレー法(ACP-DD)を用いて増幅される発現遺伝子パターンを比較し、発現に差のある39個の遺伝子断片すべての相同検索を終了した。同定された39個の遺伝子のうち18個の遺伝子が既にエナメル質形成に関与することが報告されている遺伝子であったことから、本実験アプローチの有効性を確認し、さらに、その他に21個の遺伝子のこれまでに歯牙組織では全く報告されていない遺伝子を同定するのに成功した。その中の一つであるカルサイクリン(DIG17)は細胞内カルシウムの代謝、セルシグナリング、イオン輸送に関与するとされ、ラット切歯におけるエナメル芽細胞の分化における発現プロファイル、および、歯牙発生時の発現を明らかにするため、免疫組織化学的に観察した。生後1日では、星状網と基質形成期エナメル芽細胞に分化しつつあるエナメル芽細胞に弱い免疫陽性反応が観察された、生後3日では、同様のエナメル芽細胞に弱い免疫反応が、それに加えて、エナメルフリーエリアエナメル芽細胞に強い陽性反応が観察された。生後6日では、エナメルフリーエリアエナメル芽細胞に強い免疫反応が、また、分化した咬頭頂部象牙芽細胞にも免疫陽性反応が見られるようになった。しかしながら、基質形成期エナメル芽細胞では免疫陽性反応は消失した。生後15日では、成熟期エナメル芽細胞に強い免疫陽性反応が見られるようになった。またこの時期、歯根表面のセメント芽細胞にも免疫陽性反応が見られた。
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