研究概要 |
19年度は[1]-[3]の三つの実験を計画し実施したので結果を以下に示す。 [1]中胚葉或いは神経堤由来細胞を標識できるマウスを用いた歯胚(歯髄)の間葉細胞の由来の解析:神経堤由来細胞及び中胚葉系に由来する細胞を蛍光標識できる2種類のマウスを用いて歯胚及び歯髄の間葉に神経堤由来細胞と中胚葉由来の2つの間葉細胞が存在することを明らかにした。神経堤に由来する細胞は大部分が間葉系マーカーとして知られるPDGFRaを高発現し,中胚葉に由来する細胞は血管内皮様分子の一っであるCD31を高発現していることを明らかにした。歯の器官形成には神経堤細胞のみならず中胚葉由来の2種類の間葉が関与し,別々の役割を担っている可能性が示唆された(投稿準備中)[2]歯胚(歯髄)の中胚葉或いは神経堤由来細胞の分化能の解析:神経堤に由来する細胞を蛍光標識できるマウスから細胞分取装置を用いて神経堤由来細胞を単離し,分化誘導能の違いについて検討した。歯胚及び歯髄に存在する神経堤由来細胞は骨芽細胞,軟骨細胞や脂肪細胞への分化能を持ち,再生医療の重要なツールになりうることを明らかにした。(投稿準備中)[3]マウス神経堤由来細胞をレポーター遺伝子で標識できる胚性幹細胞株の樹立:神経堤に由来する細胞を特異的に標識することができるPO-cre或はWnt1-creマウスとレポーターのRosa26Rマウスの受精卵より胚性幹細胞株を樹立した。これらの胚性幹細胞株からレポーター遺伝子の発現を指標に神経堤に由来する細胞を単離し,神経堤細胞に由来する色素細胞,脂肪細胞や骨芽細胞への分化誘導系を確立した(投稿準備中)。
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