研究課題/領域番号 |
19592109
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長塚 仁 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70237535)
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研究分担者 |
永井 教之 岡山大学, 名誉教授 (90085770)
MEHMET Gunduz 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70333507)
辻極 秀次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70335628)
玉村 亮 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00403494)
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キーワード | 歯原性腫瘍 / エナメル上皮腫 / 遺伝子解析 / ヘテロ接合性 / LOH解析 / 癌抑制遺伝子 / INGファミリー |
研究概要 |
【目的】エナメル上皮腫は生物学的には良性腫瘍とされるが、顎骨侵襲性が高く臨床的には準悪性として取り扱われる。本研究では、genome wideなスクリーニングを行い、同腫瘍に特異的な癌抑制遺伝子候補を同定、解析することを目的に、ヘテロ接合性消失(loss of heterozygosity: LOH)の検出による遺伝子レベルでの解析を行った。また、同腫瘍の発生や発育に関与するとされる分子について、免疫組織化学的手法を用いたタンパク発現レベルでの検討も行った。 【結果】 1.エナメル上皮腫におけるヘテロ接合性消失解析について エナメル上皮腫において、有力な癌抑制遺伝子のひとつであるINGファミリーのヘテロ接合性消失が高頻度に出現していることが示され、臨床データとの比較検討から同遺伝子ファミリーが、エナメル上皮腫の浸潤性や再発に関与している可能性が示唆された。 2.エナメル上皮腫の骨吸収に関与する分子の免疫組織化学的検討について 骨吸収に関与する分子であるWntと、その抑制因子であるSFRPの発現を免疫組織化学的手法を用いて検討した。結果からは、腫瘍間質のタイプによってこれらの分子の発現パターンが異なり、骨吸収の動態との相関が示唆された。 【考察】本研究では、広範な遺伝子レベルでの解析を世界で初めて行い、エナメル上皮腫の発生と進展に関わる癌抑制遺伝子候補が示された。また、腫瘍間質に注目して、エナメル上皮腫の骨吸収メカニズムについて考察した研究はこれまで報告がなく、独自性の高い研究成果と考えられる。これらの結果は、エナメル上皮腫の特異性を解明する一助となり、分子標的治療開発のための基礎研究として重要である。
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