研究課題
筋失調症(ジストニア)では不随意的に四肢の筋肉が緊張し、痙攣することにより手足の運動が障害される。この疾患の一つのモデルであるジストニンノックアウトマウスでは同様の症状を示すことが知られているが、筋組織や運動神経には異常が全く認められない。しかし手足の筋肉の緊張や弛緩を感受するニューロンや筋紡錘が消失しているという報告がされている。一方、口腔顔面領域においては顔面や舌の連縮や顎の変位等がジストニアの症状としてあらわれる。口腔顔面領域における筋失調が哺乳や咀嚼機能を妨げ、生命の維持に危険をもたらす可能性があるにもかかわらず、この原因に関する研究は全く行われてこなかった。三叉神経運動核における咀嚼筋の運動ニューロンの分布をジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスとで比較した結果、脊髄神経系における運動ニューロンと同様に、いずれのマウスにおいても三叉神経運動ニューロンが豊富に観察された。また、三叉神経中脳路核を調べてもジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスにおいて固有感覚受容ニューロンが豊富に観察され、明らかな差は認められなかった。一方、これらジストニンノックアウトマウスと比較するために筋の変性疾患のモデルマウスであるdmuマウスについても現在研究を進めている。このマウスにおける筋変性が神経に由来するのか、或いは神経には全く関係なく、筋肉そのものに原因があり変性するのかは全く明らかではない。ジストニンノックアウトマウスとdmuマウスを比較することによりそれぞれの疾患の原因や咀嚼機能への影響について明らかにすることが可能であると考えている。
すべて 2010
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Cell Mol Neurobiol (未定, accepted)