研究課題/領域番号 |
19592112
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池亀 美華 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70282986)
|
研究分担者 |
山本 敏男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107776)
河井 まりこ 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40379839)
|
キーワード | 機械的刺激 / 骨芽細胞 / 細胞骨格 / 細胞接着装置 / 骨形成 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
骨芽細胞が機械的刺激を受容し、骨形成が促進されるメカニズムにおける細胞骨格、細胞接着因子の役割について、頭頂骨縫合部器官培養系を用いることで、より生体内に近い条件下での変化を観察した。 免疫組織化学的検索の結果、βカテニンについては共焦点レーザー顕微鏡で観察することによって、局在をより明確に観察することが可能となり、またアクチンとの二重染色により、両者の関係についても明らかにすることができた。対照群では、縫合部骨形成端の骨芽細胞はβカテニンもアクチン同様に細胞皮質に局在したが、細胞皮質にあまり明瞭なβカテニンの局在をみとめない骨芽細胞もしばしばみられた。縫合中央部、骨膜線維層では、βカテニンは点状に認められた。伸展刺激6時間群では、縫合部骨縁から縫合部中心に向かって互いに密接しながら配列する前骨芽細胞と考えられる細胞が増加し、それらの細胞では、βカテニンはやや不明瞭だが細胞皮質に局在し、骨芽細胞のβカテニンはより明瞭になった。以上より、骨芽細胞へと分化するのに従い、アクチンならびにβカテニンは細胞皮質に局在するようになること、さらに、伸展刺激によりその過程が促進されるが、アクチンの方が先に細胞皮質に局在することが明らかになった。また、カドヘリンは骨芽細胞の分化が進行するのに伴い、骨芽細胞の膜に強く検出されるようになったが、免疫局在があまり明瞭でなく、検出感度にまだ課題が残っている。さらに、シグナル伝達因子のリン酸化状態をウェスタンブロットにより検出する試みでは課題がのこっており、対照群と実験群の間での差については結論を得られなかった。 これらの結果は培養細胞を用いた実験系では明らかにされておらず、これは細胞外基質が3次元的に存在し、またさまざまな骨芽細胞の分化段階の細胞が観察できるこの実験系ならではの成果と考えられる。
|