研究課題
うま味および甘味受容に関与しているT1Rファミリー(T1R1、T1R2、T1R3)の転写調節機構に関してはほとんど明らかになっていない。そこで本研究ではT1R3発現細胞であるヒト肝内胆管癌由来細胞株HuCCT1を用いてT1R3のプロモーター領域の解析を行った。5'-RACE法によるヒトT1R3遺伝子の転写開始点の解析によりATGの上流176bp(転写開始点1)および67bp(転写開始点2)の2カ所の転写開始点が同定された。転写開始点2ではその近傍にTATAボックスと相同性が高い配列が認められた。レポーターアッセイを用いたヒトT1R3遺伝子のプロモーター領域の検索により、開始コドン上流0.2kbの領域中にプロモーター領域が含まれることが明らかになった。さらに欠失変異および部位特異的変異法によりその領域中の推定C/EBP結合領域が転写を正に制御していることが明らかになった。C/EBPはC/EBPαからC/EBPζの6種類がありファミリーを形成している。そこでこれらのメンバーのHuCCT1における発現をRT-PCR法および蛍光抗体法により調べた。その結果、HuCCT1におけるC/EBPβおよびC/EBPδの発現が認められた。次にスーパーシフトアッセイにより、この推定C/EBP結合領域に結合する転写因子がC/EBPβまたはC/EBPδのどちらかであるかを調べた結果、C/EBPβが推定C/EBP結合領域に結合していることが明らかになった。さらにHuCCT1におけるC/EBPβ過剰発現によるT1R3転写活性への影響をレポーターアッセイにより調べたところ、約2.5倍の活性の増加が認められた。以上の結果より、T1R3遺伝子のプロモーター領域中にあるC/EBP結合領域にC/EBPβが結合し、T1R3遺伝子の転写の活性化に機能していることが明らかになった。
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