研究概要 |
P. gingivalis ATCC 33277 luxS変異株は親株よりバイオフィルム形成が多いことが観察されたことより,AI-2がP. gingivalisのバイオフィルムの遊離を促進する可能性が示唆された。そこで、AI-2をP. gingivalisのluxS変異株に加え、バイオフィルム形成の変化を検討した。luxS遺伝子をpGEX 6P-3に組み込みE..coli DH5 a or株にtransformationしたE..coli DH5 a/PGEX pg-luxS株にてAI-2を産生させた。P.gingivalisのluxS変異株にE..coli DH5 α株とE..coli DH5 α/p GEXpg-luxS株の培養上清を加え培養じたが、バイオフィルム形成性に違いがみられなかった。これはLuxSがAI-2の前駆物質の生成のみならず、RNA、DNA、多くのタンパク質等に対するメチル基供与に関与するhomocysteineの生成(activated methyl cycle)にも関与することより、luxS変異によりactivated methyl cycleが変化し、その結果多くの物質に変化が生じた可能性が示唆された。その結果バイオフィルム形成や遊離に影響することが推察された。先行バイオフィルムとしてS.gordoniiのバイオフィルムを形成させ、そこにP.gingivalis菌液を添加し培養するとS.gordoniiのバイオフィルムの遊離が観察された。このことはP.gingivalisは単独での遊離も想定されるが、他の菌に結合後、その菌と共に遊離する可能性が示唆された。P.gingivalisのS.gordoniiの遊離に関与する因子を検討したところ、菌体外に産生されるRgpとKgpである可能性がrgpA、rgpB、kgpの変異株と、RgpとKgpの阻害剤であるKYT-1とKYT-36による実験より示唆された。以上のことより、luxSが関与しだ系において、AI-2以外の物質が単独でのP.gingivalisのバイオフィルムからの菌の遊離に関与し、また、P.gingivalisが産生するRgpやKgpはP.gingialisとS.gordnoniiの複合体の遊離に関与する可能性が示唆された。
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