研究課題/領域番号 |
19592128
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤原 尚樹 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (20190100)
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研究分担者 |
鍵谷 忠慶 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (30405774)
石関 清人 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (50057775)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
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キーワード | ヘルトヴィッヒ上皮鞘 / サービカルループ / 歯根形戌 / 上皮成長因子 / 器官培養 |
研究概要 |
ヘルトヴィッヒ上皮鞘(HERS)の形成過程を観察するためのSlice cultureの培養条件の検索を行った。その結果、歯胚は生後(P)0〜1日齢のマウス下顎臼歯歯胚、厚さは200μm、包埋材は5%寒天とすること、またスライスした切片はTrowell法にて培養することが培養中の組織の立体構築の維持やその後の発達過程を観察するのに適していることが分かった。現在、この条件で生体色素をマイクロインジェクションする実験を試みている。 成長因子のHERSの発達に与える影響に関しては、特にepidermal growth factor(EGF)において著しい変化が見られた。免疫組織化学的な検索において、EGF receptorは胎生期歯胚から生後HERS形成が開始されるまでのサービカルループに発現していたが、HERSが形成されると、この部位からしだいに減少し、最終的に消失した。この歯冠形成期から歯根形成に至る過程で見られるEGFの効果を検討するために、我々が独自に考案した器官培養系と従来からのTrowell法を用いて、さまざまな発達段階の歯胚の器官培養を行った。EGFを添加して培養することによって、歯冠形成期(P0-3)の歯胚では星状網の領域が拡大し、HERS形成期(P5-7)の歯胚でも内外エナメル上皮の間に細胞層が残存しHERS形成が阻害されることが判明した。これは星状網細胞の増殖促進作用により生じた結果であることも分かった。またEGF receptorの阻害剤を添加して培養したHERS形成期歯胚では正常なHERSの発達を示した。一方で、歯根形成期(P9-)の歯胚ではEGFの影響は見られず正常なHERS形成が観察された。以上のことからHERSの発達・形成にはEGFが重要な調節因子として機能していることが判明した。
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