研究課題
本年度は、LPS刺激後のB細胞の増殖過程で特異的にリン酸化が起こるチロシンリン酸化基質タンパク質の同定を目的に、C3H/HeNおよび腸内細菌のLPSに低応答性のC3H/HeJマウスB細胞を用いて、Escherichia coli LPSおよびC3H/HeJマウスB細胞に対しても増殖反応を誘導するPorphyromonas gingivalis LPSによるB細胞の増殖反応の特異性とB細胞内チロシンリン酸化反応について検討を行った。その結果、1.P.gingivalis LPSは、C3H/HeNおよびC3H/HeJマウスB細胞に対し増殖活性を示した。その際、25kDaタンパク質(p25)を含む細胞内基質タンパク質のチロシンリン酸化反応が誘導された。一方、E.coli LPSは、C3H/HeNマウスB細胞に対してのみ増殖活性を示し、B細胞の増殖がみられた場合には、p25のチロシンリン酸化反応が誘導された。2.p25をさらに検討する目的で、LPSによる刺激・培養後のB細胞ライセートを二次元電気泳動(2D-PAGE)を用いて分離した。2D-PAGEにより得られた、p25の候補となるタンパク質スポット8個のうち2個のスポットは、飛行時間型質量測定(MALDI-TOF MS)とpeptide mass fingerprihting解析により、small GTPaseであるRanと同定された。3.抗Ran抗体を用いたウエスタンブロッティングからは、無刺激およびLPS刺激後のいずれの条件下においても、B細胞にRanは少なくとも4つのスポットとして存在することが明らかとなった。しかし、その総量と最も酸性側のRanの量がLPS刺激により増加した。以上の結果より、Ran総量の変動とRanのチロシンリン酸化の変動がLPSによるB細胞の増殖反応に関与している可能性が示唆された。
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